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なぜ、モラハラは起き、どう向き合い、何が残るのか
1. はじめに
既婚者マッチングアプリ「Healmate(ヒールメイト)」を運営するレゾンデートル株式会会社;https://raisondetre-inc.co.jp/(東京都渋谷区)による夫婦間のモラハラ実態調査の第4報です。
第3報では、モラハラの被害者が「どんな行為に最も心を傷つけられたのか」を分析しました。
最終となる第4報では、さらに一歩踏み込みます。
なぜモラハラは起きてしまうのか(原因・理由)。
傷ついた人は、そのあとどう向き合ったのか(対処方法)。
そして、夫婦関係や生活にはどんな影響が残ったのか(影響)。
この三つの視点から、夫婦間モラハラの「背景」と「その後」を見つめます。
怒りや支配の構造だけでは見えない、“関係のすれ違い”や“心の限界”をたどり、
その中にある「気づき」や「再生のきっかけ」に焦点を当てました。
人の心を傷つける行為は、理由にかかわらず決して容認されるものではありません。
しかし、その行為の裏側に目を向けてみると、「そうすることでしか自分の苦しさを表せない未成熟さ」が見えてくるケースもあります。
モラハラが起こる構造を理解することが、関係を第一歩になる可能性もあるのです。
本報では、数字の背後にある声や感情をたどりながら、
モラハラを“終わり”ではなく、“理解と再生のはじまり”として見つめます。
<調査概要>
・調査タイトル:夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査(第4報)
・調査期間:2025年9月29日~10月1日
・調査対象者:20~59歳の男女800人(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関するスクリーニング調査にて「モラハラを受けたことがある」と回答された方)
・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)
・エリア:全国
・調査機関:レゾンデートル株式会社(https://raisondetre-inc.co.jp/)
・調査報告の掲載:https://healmate.jp/survey/
・本報告の発表日:2025年11月9日
<調査対象者について>
夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関するスクリーニング調査にて「モラハラを受けたことがある」と回答された800名を対象としております。
男女、各年代とも100名ずつと均等なサンプル数になっています。
2. モラハラが起きる理由 ― 感情の出口を見失うとき
「配偶者があなたにモラハラ行為をする理由は何だと思いますか?」という質問では、
男女ともに最も多かったのは「ストレスや疲労」(男性36%、女性41%)でした。
次いで「感情のコントロールが苦手/怒りっぽい性格」(男性32%、女性37%)、「性格の不一致」(男性25%、女性31%)が続きました。
図1:配偶者がモラハラをする理由(男女別)
※実際の質問:Q. 配偶者があなたにモラハラ行為をする理由は何だと思いますか?(複数回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
ストレスの蓄積や感情の不安定さが、モラハラの温床になっていることがうかがえます。
日々の疲労や精神的な負担が、最も近い存在に向かって噴き出してしまう。
多くの場合、怒りをぶつけたいというよりも、“自分の感情を持て余す苦しさ”が背景にあるようです。
一方で、「相手をコントロールしたい気持ち」(男性21%、女性27%)という回答も一定数見られました。
感情を処理しきれない不器用さと、関係を自分の思う形に保ちたいという欲求が、複雑に絡み合っている様子がうかがえます。
相手を変えようとする行為の裏には、しばしば「自分が乱されないようにしたい」という防衛の意識も潜んでいます。
モラハラは、単なる怒りや支配の問題ではありません。
ストレス、生活の不安、価値観のすれ違いといった複数の要因が重なり、
「誰かを支配したい」という衝動と、「自分を保ちたい」という防衛本能が交錯したとき、感情の出口を失い、相手を傷つける言動として表れてしまうのかもしれません。
3. 被害者の対処行動 ― 沈黙の奥にあるもの
モラハラに対してどのように行動したかを尋ねたところ、
最も多かったのは「無視した/我慢した」(男性32%、女性42%)でした。
また、「特に行動はしなかった」と答えた人も男女ともに22%にのぼります。
ここから、多くの人が、“静かに耐える”という選択をしていました。
図2:配偶者からのモラハラへの対処(男女別)
※実際の質問:Q. 配偶者のモラハラに対して、どのように対処しましたか?(複数回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
“静かに耐える”という傾向は、特に女性で強く見られました。
モラハラを受けても、声を上げず、家庭の中でやり過ごす。
「波風を立てたくない」「子どもに影響を与えたくない」「相手を怒らせたくない」――
そうした思いが、行動を抑える理由として浮かび上がります。
ただし、沈黙は必ずしも“無関心”や“諦め”を意味するわけではありません。
中には、「どうしたらいいかわからなかった」「相手が変わるのを待っていた」という声もありました。
一方で、「言い返したらもっとひどくなる」「話し合えば関係が壊れるかもしれない」という恐れも滲みます。
我慢の中には、希望と不安、そして深い疲労が同居しているのです。
それでも、「直接話し合った」(男性24%、女性20%)や「距離を置いた/別居した」(男性17%、女性18%)といった行動を取る人たちもいます。
「一か月口を聞かなかった。相手が非を認めて謝った」(50代女性)という声のように、距離を取るという行為が関係を見つめ直すきっかけになることもあります。
何も言わない、何もできない――その静けさの中には、
恐れと諦め、そしてそれでも変わってほしいという願いが複雑に絡み合っています。
行動の有無にかかわらず、人は誰しも、関係の中で“どう生き延びるか”を模索しているのかもしれません。
4. 生活や関係への影響 ― 積み重なるストレスと信頼の喪失
モラハラが生活や夫婦関係に与えた影響については、男女とも「精神的ストレスや不安が増えた」(男性33%、女性48%)が最も多く、次いで「会話が減った」(男性28%、女性30%)、「関係の満足度が下がった」(男性22%、女性24%)が続きました。
図3:モラハラが与えた影響(男女別)
※実際の質問:Q. モラハラがあなたの生活や夫婦関係に与えた影響は何ですか?(複数回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
日常の中で小さな緊張が積み重なり、話すことが減り、心の中に“言えないこと”が増えていく。
関係の破綻は突然訪れるものではなく、「少しずつ言葉が減っていくこと」そのものが、変化のサインなのかもしれません。
「離婚を検討した」と答えた人は、男性18%、女性26%。実際に「離婚した」と回答した人は800人中2人(いずれも女性)でした。
数としてはわずかですが、モラハラが「関係を終わらせるほどの出来事」になり得ることを示しています。
自由記述の中には、次のような声がありました。
「生理痛や悪阻で動けないとき、“お前が痛みに弱いだけ”と言われた」(20代女性)
「夫が知っていることを私が知らないと、“そんなことも知らないの?”とバカにするように言う」(50代女性)
「作った夕飯を捨てられた」(40代女性)
これらの体験は、身体的な暴力とは異なり、相手への信頼や尊重が少しずつ削られていく“心理的な摩耗”を映し出しています。
怒鳴り声や衝突のような激しさではなく、繰り返される小さな言葉や態度の積み重ねが、心の温度を冷ましていくのです。
モラハラの影響とは、関係が一気に壊れることではなく、日常の中で信頼や安心が失われていく過程そのものを指すのかもしれません。
そして、その失われたものの大半は、目に見えない“心のエネルギー”なのです。
5. まとめ
本調査を通して、夫婦間のモラハラには次のような傾向が見られました。
●モラハラは「ストレス」「疲労」「感情の整理の難しさ」から生まれることが多い
●被害を受けた人の多くは「我慢」や「沈黙」を選び、その背景には恐れや諦め、そしてわずかな希望が入り混じっている
●長期的には、会話の減少や精神的ストレスの増大など、関係の信頼や安心感がゆっくりと失われていく
調査から見えてきたのは、怒りの瞬間よりも、そのあとの「言葉のない時間」にこそ深い痛みが潜んでいるということでした。
「もう何も言っても変わらない」と感じる沈黙、
「どうにか理解してもらいたい」と願う気持ち。
そのどちらも、夫婦という関係の中で人が抱えるごく人間的な揺らぎです。
モラハラは、特別な人間関係の中でだけ起こるものではありません。
誰もが忙しさや不安の中で、ふと相手への思いやりを見失ってしまうことがあります。
けれど、関係が冷えきってしまう前に、「相手を責める」ではなく「相手を理解しようとする」ことが、小さくても確かな変化のきっかけになるのではないでしょうか。
怒鳴り声の後に残る沈黙。その奥に、まだ“関係を続けたい”という思いが残っているなら、そこにこそ再生の可能性があります。
この調査が、誰かを責めるためではなく、
誰かともう一度向き合うためのきっかけとして届くことを願っています。
◎調査の目的
私どもレゾンデートル株式会会社;https://raisondetre-inc.co.jp/(東京都渋谷区)は、「結婚後の新たな生き方」を提案する既婚者向けメディアやネットサービスの展開を行うシステム開発企業です。現代の夫婦関係のあり方や多様性を把握し、今後のサービス開発に向けた市場動向を探るため、今回の調査を企画しました。
◎調査内容・本リリースに関するお問い合わせ
今回の調査内容やデータの詳細に関するお問い合わせ、報道関係の皆様の取材依頼やお問い合わせは下記までお願い申し上げます。
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担当:浦野