(本文/加藤大樹)
「リラックマ」「すみっコぐらし」「たれぱんだ」、多彩なキャラクターを世に送り出してきたサンエックスが、新たに立ち上げた横断企画「サンエックスユニバース」。そこには、時代を超えて愛されるキャラクターたちを、もう一度“つなぐ”という明確な意志があった。
平成リバイバルの追い風、共感を軸にしたキャラクターづくり、そして次なる展開まで、サンエックスのキャラクターたちが長く支持され続ける理由とは。サンエックスPR部 広報室 小川綾子氏に話を聞いた。
キャラクターが一堂に会する「サンエックスユニバース」誕生のきっかけ
サンエックスPR部 広報室 小川綾子氏。左手には同じくサンエックス広報担当「ころころコロニャ」のコロニャも
――サンエックスといえば、多種多様な魅力あるキャラクターたちで多くのコンテンツを届けています。今回、「サンエックスユニバース」の企画を立ち上げるに至った経緯を教えてください。
2022年にサンエックス創業90周年を記念して、1,000を超えるキャラクターが集合する大展覧会「サンエックス90周年 うちのコたちの大展覧会」を実施しました。3年かけて全国10ヶ所を周遊する、かなり大規模な展示です。その中で、全キャラクターを一覧で見られる展示物を制作したり、公式図録を出版したりしました。
――これは壮観ですね……!
多くの方に話題にしていただきました。サンエックスでは現在、「リラックマ」と「すみっコぐらし」が中心的な存在ですが、それ以前に誕生したキャラクターたちも、いまなお愛されていると実感したんです。そこで、サンエックスのキャラクターたちを一堂に集めて何かできないかと考え、生まれたのが「サンエックスユニバース」でした。
――これまで、キャラクターたちがひとつのコンテンツとしてまとまった展開がなかったのは意外でした。立ち上げ後の反響はいかがでしたか?
「このキャラクター、いたよね」「このコもサンエックスだったんだ」という声を多くいただき、特にSNSでの反響を強く感じました。「サンエックスユニバース」としての最初の展開は、2025年9月に実施した「森永ビスケット」シリーズ商品とのコラボです。商品パッケージの側面をつなげるとキャラクター同士が手をつないでいるように見えたり、空箱を使って工作ができたりと、遊び心のある企画でした。
――これはかわいい……。ほかにも、ローソンやゲーム『LINE バブル2』とのコラボがありましたね。企業間コラボで大切にしていることは何でしょうか。
キャラクターとの親和性です。「サンエックスユニバース」は、これまでサンエックスが生み出してきたキャラクターの総称でもあるので、特徴として、老若男女問わず非常に幅広い方々をターゲットにできるという点がありますね。今回はコンビニやお菓子といったジャンルとコラボレーションを実施しましたが、非常に相性が良かったと感じています。
平成の懐かしさを感じるキャラクターたち大集合
――「サンエックスユニバース」は、懐かしさも感じるキャラクターたちが次々と前に出てくるのも魅力ですよね。平成に育った世代としては、「たれぱんだ」「こげぱん」「アフロ犬」「にゃんにゃんにゃんこ」に久しぶりに会えた感覚が強いです。近年は「平成レトロ」「平成女児」といったブームもありますが、そこを意識した部分もあったのでしょうか。
リバイバルブームの影響は大きいですね。この数年、サンエックスのプロパー商品として、その4キャラクターを展開することはありませんでしたが、2024年9月にぬいぐるみやタイルシール、ポーチなどをリバイバル商品として発売したところ、大変好評でした。
「あのころのともだち」。左から「たれぱんだ」「こげぱん」「アフロ犬」「にゃんにゃんにゃんこ」
――このキャラクターたちも、いま改めて支持されていると。
この流れに乗っていきたいという思いはありました。
――久しぶりに再会できたキャラクターも多くてうれしいです。現在の平成ブームについて、多くのキャラクターを扱うサンエックスとしてはどのように捉えていますか?
個人的にですが、2~3年前に「Y2Kファッション」が流行し、そこから平成のアイテムやコンテンツのリバイバルにつながった印象があります。以前よりも大人の方に届いている感覚がありますね。子どものころに文房具などでサンエックスのキャラクターに親しんでいた世代が、いまのリバイバルと重なってくれたのではないかと。こういったキャラクターのグッズは、当時のイラストをそのまま使ったアクリルスタンドやステッカー、おはじきのようなシールも制作しています。あえて「平成レトロ」と打ち出してはおらず、現在のトレンドの中に自然に商品を出している感覚に近いかもしれません。
取材はサンエックスショールームにて、たくさんのキャラクターに囲まれながら
――この機会に、改めて注目を浴びている形ですね。ガラケー風のグッズなど、平成を懐かしむ商品の購入層は上がっていますか?
以前より大人の方に手に取っていただく機会は増えました。ただ、商品を扱うバラエティショップはもともとお子さまが多い場所なので、お子さまたちにも新しいものとして興味を持ってもらうケースも多いですね。
――近年、特に反響が大きかった商品はありますか?
シール帳やシールは本当に売れ行きがいいですね。おはじきのようなシールやタイルシールに加えて、「ボンボンドロップシール」のブームも追い風になりました。
――さまざまな企業との相乗効果が生まれているわけですね。先日、東急プラザ原宿で開催されていた「平成Kawaii POP UP SHOP」(2025年9月開催)にも足を運びました。「モノクロブー」のシール帳が目当てだったのですが、売り切れていて……。
「にゃんにゃんにゃんこ」も、シール帳やシールはすぐに完売することが多いですね。懐かしさを感じるキャラクターたちへの注目度は、かなり高いと感じています。
「リバイバルきっかけで注目されたキャラクターはいますか?」
「それこそ『モノクロブー』や『まめゴマ』は、「商品展開してくれてうれしい」といった声をよくいただきますね」
共感できるストーリー性
――サンエックスは2026年で創業94年。昭和・平成・令和と時代を超えてキャラクタービジネスを続けています。流行が移り変わる中で、どのようにマーケティングを行ってきたのでしょうか。
実は、弊社ではキャラクターマーケティングを前提にキャラクターをつくってきたわけではないんです。
――そうなんですか!?
ただ、キャラクターごとに共感できる性質やストーリー性を持っていると思います。たとえば「リラックマ」は、毎日だらだらゴロゴロしてよくご飯を食べていますが、そばにいるとそんな自分をも肯定してくれているようなほっとできる存在でもありますよね。また、日本人は電車でも端に座る人も多く、すみっこが好きだと言われています。そのような日本人らしい特性を捉えているのが「すみっコぐらし」でした。キャラクターを生み出すうえで明確なルールがあるわけではないですが、世の中のトレンドとも紐づき、多くの人が共感してくれたのかもしれません。
左から「コリラックマ」「リラックマ」「チャイロイコグマ」、手前は「キイロイトリ」
――共感を狙って生まれたというより、時代の空気が追いついてきた。
そうともいえるかもしれません。2024年3月にデビューした「いしよわちゃん」は、まさにそういう存在です。会社員として週休2日制のフルタイム勤務で、推し活が好き。スマホを触っていたら2時間経っていた、というようなキャラクターなんですよ。
――まさに“いま”の時代を映したキャラクターですね。
共感してもらえる存在だと思います。
――「共感を得よう」と思って制作しているわけではない?
当社はキャラクターの制作に、特に決まったルール・方針を決めていません。サンエックスには多くのデザイナーが在籍していますが、基本的に自由にキャラクターを提案してもらっています。












